Melt


「そうなのか。そういえば、名前聞いても良いか?」



「俺?俺は千歳大地だけど。」



珍しく千歳がペースを乱されている。



彼は不思議な雰囲気で自分の流れに相手を巻き込んでいてたちが悪い。



「千歳って、名字だったのか。よろしくな。」



にこにこしている彼に千歳は嫌なものを感じたらしく、そっぽを向いて課題プリントを解き始めてしまった。



「気にしないで。ただ単にウザくて、めんどくさいだけだから。千歳は。」



言うと、なんでだよぉと千歳が泣きつき、勉強モードだった教室に笑いが落ちた。




彼も楽しそうに笑い、千歳もようやく「よろしく。」と返事を返す。




最初から素直になればいいのに。



もともと千歳は人懐っこいんだから。



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