Melt
いいな、いいなと騒ぐ大地とじゃれながら、教室へ戻ろうと廊下へ出る。
と、めずらしく初音が肩を落としているのが見えた。
「どうかしたか?元気なさそうだけど。」
大きな瞳が俺を捕まえた。
一瞬、心臓が止まる。
そんなわけないけど、それくらい簡単に初音は俺の心を揺さぶってくる。
「身長がまた伸びてたの。」
「ふつうは嬉しいんじゃねぇの?」
俺の言葉に初音はにらみ返してきた。
「165センチになっちゃったの。毎年毎年憂鬱だけど、体重が増えるよりもへこむの!」
こんなに熱くなってんの初めて見たかも。
でもホントに嫌なんだというのだけはわかった。
目に涙がたまってるのが見えたから。