Melt



茫然と初音の後ろ姿を見つめていると、ずっと黙っていた大地が背中を叩いてきた。



「気にすんなよ。あいつのアレは仕方ないんだ。」



困ったように笑う大地。



「おれ、160センチ以上の女は可愛くないって言ってたやつのことよく知ってんだ。」



なんたって親友だったからな、と大地は言った。



そして思い出すように空をみて続ける。



「あいつの器が小さかったというか、たんなる焦りで意地悪言っただけなんだ。けど初音的にはかなりショックだったらしくてさ。本当は、謝ることになってたんだ。」



なのに、と言ってそこから先はいつまでたっても無言だった。



親友“だった”って言葉の意味も無言になってしまった話の続きも俺にはまったくわからない。



でもなんとなく、あいつっていうのは初音のこと好きだったんだって分かった。



そしてあそこまで気にしてる初音も。






< 31 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop