Melt
「あぁ。大会近いからな。」
文武両道を重んじるらしいこの学校では、部活も勉強と同じく厳しい。
まあ、俺には特別厳しいと思う理由があるからだけど。
だからこそ今は前にいた高校より遥かに厳しいと思う。
前にいた高校はインターハイ常連校で日々ハードな練習で死にそうになっていたにも関わらず。
上には上があるんだなぁと最近しみじみ思っている。
ここの高校も今年はインターハイ出場をまじめに目指している。
そのための転校だし、どれだけ辛くても腹を括らなきゃいけない。
「大変だなぁ、レギュラーになると尚更。つか、転入間もなくレギュラーとかすごすぎだけどな。」
「別に、たまたまだろ。」
自分の話になるとどうも苦手でついつい逃げてしまう。
「千歳、うるさい。」
と、初音がそれに気付いたのか本当にうるさかったのか大地を追い払ってくれた。
続きを促されて、課題の説明をしていく。
この一か月。
最初会ったころよりも自覚を持って思えるようになった。
俺は、初音のことが好きだ。