Melt
「二年から転校ね。うちのガッコ、進学校なのに。理系?文系?」
私の通う学校は、県内随一の進学校。途中編入なんて至難の業だ。
体育会系っぽいのに、意外と頭がいいらしい。
「おれは理系。他県から引っ越してきたんだけど、ここが家から一番近かったんだよ。お前はどっち?」
「私も理系。頭いいんだ?」
からかうように聞くと照れたように頭を触った。
「そんなことねえよ。調子乗ってみたけど、結構ギリギリだったし。つうか、この坂やばいな。」
「べただけど、心臓破りの坂とかって呼ばれてるよ。一か月も通えば慣れちゃうけどね。」
そんな他愛のないことしゃべりながら坂を登って学校を目指す。
坂を登り切れば、そこには白く綺麗な校舎。
このいかにも新しくて、できる学校みたいな見た目が私はひそかに好きだったりする。