Melt
「すげぇ、でかいし、綺麗だな。」
なんてたって出来てからまだ三年。
ほとんど新築に近い。
「まぁそれだけが取り柄みたいなものじゃない?」
と私は笑った。
「職員室は、隣の棟にあるから。じゃあね、助けてくれてありがとう。」
私は職員棟を指さして、あいそ良さげな笑顔で言った。
このまま講堂には寄らないで、掲示板でクラス見てから教室に直接行こう。
スカートをひるがえして、私は教室棟へと向かおうとした。
「なあ、名前は!?」
呼びとめられて振り返る。
「早川初音(ハヤカワハツネ)。」
思わず答えてしまった。
「おれは、高屋九十九(タカヤツクモ)。同じクラスなれると良いな。」
それには答えないで私はあいまいに笑う。
汗べたべたで、スッピンで、始業式も遅刻したけどなかなか良い朝だったかも。