Melt
「おーう、皆席ついてるかぁ?」
ちょっと寝不足そうな由岐先生が教室に入って来た。
いつものグレーのスーツ。シルバーフレームのメガネ。きっちりと整えられた髪。
眠たそうなところ以外は完ぺき。
「このクラスの担任の由岐光臣です。よろしくな。」
由岐先生の適当な生徒との距離の取り方が私は好きだ。
押しつけがましい勘違いした先生より、等身大で接してくれるほうがいい。
理解できないことを由岐先生は素直に「わからない」と言ってくれる。
だからなのか賛否両論らしいけど。
「じゃあ、今日は転校性を紹介しようと思う。高屋入ってこい。」