GOLDEN WOLF〜ヤン暴君と最強honey〜
「人がせっかく忠告するだけで終わらせてあげたのに、『迅麓』をプチ戦争に巻き込まないように忠告してあげたのに、あんたはその私の優しさを踏みにじった!!」
「……」
「あんたらに八つ当たりしたって過去は変えられないから、あえて黙っておいたのに!!」
「……過去?」
「あの事件について、隠し通そうと思ったけどやめだ、やめ!!」
「……茉麗?」
「五年前、私は人質としてこの部屋で監禁されたことがあるの」
「……人質……だと?」
「そうよ。当時の『迅麓』の総長の名は――ソラ」
その名前を聞いた途端、怪訝な目で私を見つめる煌月。
しかし、すぐに顔をしかめた。
そして、腹を跨っている女を退かせ、
「お前、もう帰れ。帰らねーと、豚以下の醜い顔になるまでぶっ潰すぞ」
ドスの効いた低い声で脅迫する。