GOLDEN WOLF〜ヤン暴君と最強honey〜
「……姫輝、ごめん。何が言いたいのか、さっぱり分からない」
「惚けなくても良いんだよ?妄想するようになったのって、あの事件からでしょ?」
「……え?」
「現実逃避をしたかったんでしょ?そして、妄想することが癖になり、今に至るって感じだろ」
……間違ってはいない。
あの事件以後、兄さんとまともに話さなくなってしまった。
学校でも家でも一人になってしまった私が考えた一人遊びが、妄想だった。
妄想の力は凄い。
どんなに嫌な出来事があっても、脳内でその嫌な記憶を容易に良い記憶に塗り替え、それを『そうだった』と思い込むことが出来る。
そう、いわゆる現実逃避。