GOLDEN WOLF〜ヤン暴君と最強honey〜
「に、兄さんは――…」
「さっきまで、バーの前にいた」
「……何……だと?」
「わざわざ、お前の兄貴がこのバーまで出迎えてくれたんだよ。お陰で、手間が省けた」
煌月のその発言を聞いて、眉間にシワが寄る。
……ていうことは、煌月がバーを出て行ってからずーっとバーの前で、兄さんと談判していたってことでしょ?
なら、私を呼べよ。
兄さんが、自らこのバーまで出迎えたっていうことは――…
「お前の兄貴。茉麗のこと、すっげー心配していた」
…――ほら。
聞く耳を持っていたじゃんか。
力でねじ伏せようとも考えていなかったじゃんか。
それなのに――…