GOLDEN WOLF〜ヤン暴君と最強honey〜
……郁斗よ。
私が物分かりの良い奴で良かったね。
感謝しやがれ、バーカ。
あえて、心の中でそう呟く。
今は、そんなことを郁斗に言っている場合じゃない。
「それで、私は一体誰に捕らえられる予定なのかしら?」
「『黒龍』だ」
「……」
「……」
「……な、何だって?」
「だから、南区界隈全域を仕切っている『黒龍』だ」
目の前が真っ暗になった。
今、私の脳内から“希望”という言葉が消滅した。
こっ、黒龍って……。
確か、目的のためなら手段を選ばない、たちの悪い集団じゃん!!