GOLDEN WOLF〜ヤン暴君と最強honey〜
「マリです」
「……マリちゃん?」
「はい。ジャスミンの一種である茉莉花の茉に麗しいと書いてマリと読みます」
「綺麗な名前だね」
姫輝は穏やかな口調でそう言い、目を細め口角を上げる。
私は自分の名前を褒められ、「ありがとう」と素直に喜んだ。
やっぱり、この人だけは他の不良とは少し違う。
初めて出会った時は、姫輝の登場があまりにも怖すぎて気絶してしまったが、この人は他人の気持ちを考えられる人だし口調も穏やか。
本当に良い人――…
「それじゃあ、単刀直入に言わせてもらうけど、茉麗ちゃんにはここで監禁生活を送ってもらうから」
全世界が停止したかと思われた。
というのは嘘で、私の思考回路が一時停止した。