GOLDEN WOLF〜ヤン暴君と最強honey〜

*朦朧



――定かではない。



柑橘系の匂い。



これは……煌月の香りだ。



……あぁ、私。



煌月に抱き締められているのか。



そっか、助かったのか……。



「オイ、茉麗。大丈夫か!?」



煌月が私のことを心配してくれている。



「オイ、返事しろ。てか、茉麗一人で慎をやったのか?俺の出番、ねぇじゃねーか」



どうやら私は、煌月の出番をなくしてしまったようだ。



……あのさ?



ここ、褒める所でしょ。



私、死ぬ気で頑張ったんだからね?



「頭の良さと気力で、慎をぶっ潰してやったよ」



煌月にそう言って鼻で笑った――と、思う。



これも定かではない――。



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