GOLDEN WOLF〜ヤン暴君と最強honey〜
「……なぁー、茉麗」
突然、深刻そんな顔つきで私の名を呼ぶ悠。
……これって、俗に言う以心伝心ってやつだよね?
何故だろう。
悠の彼女じゃないのに、悠が言いたい事を分かってしまった。
「悠の分のチョコは無いよ?」
「……郁斗の分はあって、俺の分は無いだと?」
「うん。無い」
私は簡潔にはっきりと答えると、悠はゆっくりと腰を上げ、窓の方へと歩き出す。
そして、窓を開けて肌寒い風を浴びていた。
その悠の行動に何の意味があるのか分からないけど、ショックを受けていることだけは分かる。
悠……本当にごめんね?
私は悠の寂しい背中を見つめながら、心から謝った。