GOLDEN WOLF〜ヤン暴君と最強honey〜
“アイツ”の所為で、私までもが“そういう人”だと噂されるようになってしまった。
けど、人の噂も七十五日。
いつの間にか、その噂はされなくなっていた。
もう、二年前の話だ。
知っている人は、数少ないと思っていたのだが……。
「あのさ、姫輝」
「……ん?」
「あの噂、嘘だから」
「……うん、分かってる」
「なら、良かった」
私は目を細める。
そして、携帯で今の時刻を確認し、
「それで姫輝の用件は、私が東区の族と関わりがあるかないかを知りたいんでしょ?」
「……」
「関わりないから」
「……」
「さて、そろそろ帰宅しないと。そんじゃ、達者で」
私は早口でそう言い、姫輝の横を早足で通り過ぎようとしたが、姫輝に手首を掴まれてしまった。