手紙でXXXして。




からんと、氷がグラスに落ちる音。

あたしははっとした。

あのあと中庭でひかりさんとあたしは別れたあと、あたしは仕事場に向かった。

けれどもさっきまでのひかりさんの表情が忘れられず、ついついぼんやりとしてしまい、仕事になかなか集中ができなかった。

「チハル、あんた大丈夫?」

ママがお客さんに愛想をふりまきつつ、そっとあたしに小声で耳うちする。

あたしは笑顔をつくり、深く頷こうとした。




急に。


急に、手の先の指から熱が奪われていくのを感じた。

視界がゆらゆらと揺らめき、体中から力が抜けていく。


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