手紙でXXXして。


外の景色を眺めているうちにあたしの気持がすこしずつ落ち着いていくのがわかった。


あたしは体をゆっくり起こし、便箋を封にしまった。




木村先生は窓を開けたまま、じっと外を眺めている。






いつものぼんやりした笑顔は消えて、きつく唇をかみ締めて少し顔が青かった。

組まれた腕が小さく、震えている。




「チハルちゃん。 や、永野 ふゆかさん」




久しぶりによばれた本名に

あたしはびくりと体が反応する。


消えないんだ。



明るい、『春』に憧れてつけた源氏名。



なのに


あたしの心はいつもまでもひとり、冬のままかもしれない。



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