手紙でXXXして。
「ちは…永野ふゆかさんの、真剣に、楽しそうに絵を描く姿に、僕は見惚れました」

さっきまで
うるさかった雨音が、
よく聞こえない。


実の声しか聞こえない。


「僕は、確かに走るのが得意だったけど、好きかどうかはわからなくて、ただただ、まわりに期待されるまま走ってたんだ。

そんな時、貴女の姿を見て、僕は救われたんだ」


体の表面は冷えていくのに

体の芯があつい。


「みの…」


「永野ふゆかさん。

僕は、
あなたのことを
尊敬しています。

凄く好きです」



あたしは
実を抱きしめた。



実も雨に濡れて、
冷たいはずなのに、
あたしにはとても

熱く

熱く感じたんだ。




< 162 / 214 >

この作品をシェア

pagetop