手紙でXXXして。


ひかりさんは
今までのどこか
突き放したような笑みじゃなくて、
柔らかな
春の日差しのような笑みを顔に浮かべている。

「じゃあひかりさん、
俺が実君を病室まで送るから、ひかりさんも今日は帰りなさい」


いつの間にか、
木村先生は実の車椅子の後ろのグリップを
握りしめていた。

夕日が眩しい。



実がまたね、と笑顔を浮かべて、あたしも微笑んだ。


そうして
あたしとひかりさん、実と木村先生の二手に別れて、
あたしたちはそれぞれの道を歩いていった。
あたしは先にいく
ひかりさんの後ろ姿を見つめながら歩く。


「ひかりさん、あの八つ当たりって…」

あたしが
恐る恐るたずねると

ひかりさんはくるりと
振り向いた。

「失恋しちゃった」




あたしはあえて
誰に?とは聞かなかった。

聞く必要もなかった。


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