手紙でXXXして。
「あの、ふゆかちゃん、大丈夫?」

気が付くとあたしはぼんやりとしていたらしい。


「あ、ごめんなさい」

小さな診察室ではあたしと木村先生の二人きり。


閉じられた世界で、あたしの頭の中は混乱してくる。

「わかんないことだろうだけど、焦らずにね」

優しい先生の口調に、あたしは前から少しだけ疑問だったことを口にした。

「先生、どうしてこんなに親切なんですか?」

元々木村先生は少しつかみどころのない雰囲気で隠されがちだけど、根は優しい人ということはなんとなくわかる。

けどなんだか今の木村先生は多分他の誰かにしたかった優しさを、あたしでなぞり、懺悔してるみたいだった。



「ふゆかちゃんに恋してるっていったら?」

口だけ浮かべる木村先生の笑みに、あたしは先生の悲しみを感じた。

「嘘ですね」


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