手紙でXXXして。
先生はあたしから目をそらして、その視点を手元のカルテに落とした。


「昔、いたんだ。ふゆかちゃんと同じ症状の子が。すごく、すごくいい子だったんだけど、突然キレるわ、遅刻はするわ、忘れものはするわ、なかなか大変な子だったんだ。部屋も汚かったしねぇ」



あたしはじっと先生の眼鏡のふちをみた。今、先生の目はみちゃいけない気がした。

「気軽に部屋に入れる関係だったんですね」

先生はその人が男とも女とも、どんな関係だったかもいわない。

ただ、大切な人だった。
それだけはわかる。 先生はまた口を開いた。


「あの子の脳は嘘をついたんだ。生きたいのに、脳の狂いと世の中での違和感が死にたいって言わせてたんだ。その時の俺にはわからなかったけど」


そう言って先生は口を閉ざしてしまった。

「その人今は?」

< 187 / 214 >

この作品をシェア

pagetop