手紙でXXXして。

「なんでしょ?」

おどけた様子で実は小首をかしげる。

「個展先からでも手紙、ちょうだい」


のばされた手の甲に、実がかがみこんでくちづけする。


「わかりましたお姫様」


あたしは手をひろげて、
実を抱きしめる。



この人はきっと、これから
遠い世界にいってしまう。

そんな確信があった。

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