手紙でXXXして。
少女のほほには小さな×××(キスマーク)が並んでいる。

そして彼女を抱きしめる腕が描かれていた。

絵葉書をひっくり返すと、見慣れたワープロ文字でこう書かれていた。

『帰るから、待ってて』


自然と、笑みがこぼれる。

「はやく帰ってきなさいよ」


あたしはその絵葉書を

玄関側のコルク板にピンで留める。


四角い窓をのぞくと
しんしんと雪が積もり始めていた。





それはまるで町というカンバスが白い雪の絵の具で丁寧に染められ、丹念に描かれていくようであった。





【完】
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