手紙でXXXして。
あーと木村先生はあごをさすった。

「見せた見せた。

患者さんの目の保養に」

「目の保養かよ!」

思わずあたしはつっこんでしまった。

木村先生とはわりとこういうやりとりをしてしまう。

見た目は知的でクールっぽいのに、
ちょっと先生は天然の香りがぷんぷんする。

なんだろう、頭がよすぎてちょっとネジがずれてる感じ。

「あはは、やー評判だったよ。
なんか一人やたら食いついてた男の子がいたから。
その子にあげたけど」


「ねぇその子って・・」

あたしがとある質問を投げかけると

答えは予想通りだった。






****



木村先生から彼女の写真を

見たときは驚いた。

それは数年ぶりの再会。

久しぶりに見る彼女の顔は

少しだけ、大人びて、

痛々しい、作り笑顔が気になった。


そして鏡の中の自分を見て

ふと思った。

ああ、僕も同じ。

作り笑顔だ。


壊さなきゃな。

僕も、彼女も。


ほんとに笑うために。






< 89 / 214 >

この作品をシェア

pagetop