君に落ちた奇跡
「…お前の態度の方が俺の身体には悪い。煙草が嫌なら俺に近寄るな」

彼女にかまわず俺は火をつけた。

一応俺も気をつけてはいる。

風下へ行くようにしている…。

「朝夜の煙草は我慢してあげて?」

谷が彼女に何か言っている。

「どうしてです?」

「心をね、閉じ込めて生活するのは辛いってことかな?」

谷の言葉に彼女は首を傾げている。

「おい、何話しているんだよ」

「べっつにぃ~」

ニヤニヤしている谷があやしい。

あやしいが、早くコイツをどうにかしたい。

とりあえず谷はほっておいて、公衆電話がないか探す。

「何さがしてんの?」

「公衆電話。電話帳がいるだろ?…あと、ケータイ持ってない奴もいるしな」

俺達の視線を受けて、彼女は少しオドオドする。
いや…もしかして…

「すみません…私、お金も持ってなかったり?」

やっぱり…やな予感が当たった…。
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