君に落ちた奇跡
「お前、16だろ?…財布も持たないで外出てるなんてありえねーぞ?」

「朝夜、ちょっと言い過ぎかな?」

谷に言われて彼女を見ると少し落ち込んだ感じだ。

「…ひかるちゃん…別に悪気は…」

「わかっています。私、周りにいつも誰かいるんだけど…本心で私と友達になってくれる人なんていないんですよ…
私ってウザイんですよ」

苦笑した彼女の顔は先程までと違った。

何故だか胸が苦しくなるような表情。

「そんなこと…」

「…お前が本心で付き合わないからだろう?
はっきり言うが、そういう所がウザイんだよ」

お世辞など今のコイツには無駄だ。

言わない方が為になる。

「朝夜!」

「谷、お前がコイツに言ってるのは、コイツの周りにいる奴と同じだぞ?
俺達は今この場のみの付き合いだ、本音を言って傷ついても、忘れられるだろう?」

谷はうっと詰まりつつ口を開きはじめた。

「…少しだけ…自分のコトそういうふうに言うのはやめた方が良いよ?
自分のコトだもん、なおせるぢゃん?」

明るい口調だからなのか彼女は微笑む。

「確かにそうですね」

俺の口調がキツイのか?

そんなに俺はヤな奴なのか?

心の中が黒くなっていく…

いや

始めから黒い

だから肺も黒く…
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