君に落ちた奇跡
「ほんとに…すみません…大丈夫ですから…」

謝って、マイクを持って前をむく。

私を応援してくれる人に感謝を込めて…



けど、

浮かんでくるのは、彼の顔…

不機嫌そうな…

呆れ果てている…

それでも心配そうな視線をむけてくれる…

彼の顔が……

「ひかる?」

「はい?」

マネージャーさんの顔がなんでか歪んで見える。

「そんな顔ではどうにもなりません…
少し休憩をいれます…」

言われて気付いた。

涙が…

溢れている……

彼にもう一度逢いたい。

顔が見たい

どうしたらいいのかわからない…

何も出来ない。

息も

何も

1人になった控室で声なく叫ぶ。

どうしたら

目の前には私のケータイと財布…

そして、扉……







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