君に落ちた奇跡
「で、ひかるちゃんと何があった?」

公園に着いた俺達は、ジャングルジムの最上階に座って話しだした。

「別に何もないさ…あのあとすぐに迎えが来て戻って行っただけだ…」

「…さよならとかしなかったの?」

逃げ場のないこの場所で、表情を伺う為に顔を覗かれる。

「別に必要がないだろ?…それに、する暇もなかったしな…」

「…朝夜さ、顔に書いてあるよ?


"もっと話したかった"


"もっと傍に居たかった"


"ひかるが好きだ"


ってさ…」

谷の言葉に俺は拳を握りしめた。

「今さっきあったばかりの女を好きになるはずないだろう?
しかも、あんな常識知らず…」

「馬鹿な子ほど可愛いんだよ?…オレもその分類だしぃ?


いつ、誰と恋におちるなんてわからないんだよ?

んー

オレ達がこうしているのと同じくらい自然におちるものなんだ…」

苦笑に混ぜた谷の言いたいコトはわかった。

俺達だっていつからこうしてつるみ始めたのか全く記憶にない…。

「素直になれば?」

俺は、谷の腕を力いっぱいに握ってやった…。

「…あんなヤツが気になるなんて一生の恥モノだ……でも、気になって、心配で……胸が苦しい…」

「ぢゃ、逢いたい?」

「…腹が立つけど、アノ馬鹿面がみたい…」

素直に答えてやると、谷は笑い始める。

「朝夜の初恋に出会えて凄くいいね…」

「笑うなよ……朝、迎えにいってやらねーぞ?」

「それは…ヤダな…けど、朝夜はオレに感謝するよ?」

谷は下の方へ指先をもって行く。

「ほら、素直になっておいでよ…オレはここで車捕まえて待ってるから…」

下の方には………
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