君に落ちた奇跡
ふたり
「笹口さん、今度はケータイも財布も持っています!私の話しきいてもらえますか?」

下には彼女がいた。

手にはケータイと財布が握られていて…

「お前、リハーサルは?
迎えに来たあの人は?」

ジャングルジムから飛び降りて正面に向く。

「どうしても笹口さんに話があって抜け出して来ました」

真っ直ぐ見つめる瞳に俺は呆れてしまう。

「お前は本当に常識知らずだな…抜け出して来るなんて……」

「そうしないと、私は明日ステージに立てません!だから、私の話を…」

「聞くから…少し落ち着け……別に怒ったりはしてない…呆れはしたが、少し尊敬している」

彼女の手を握って…

「だから、俺の話しも聞いてくれ…」

彼女は優しく微笑んでくれる。
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