君に落ちた奇跡
「こ…」

「まかしといて!」

断ろうとした俺の言葉の上から谷が被せる。

「本当ですかぁ?」

嬉しそうな満面の笑顔。

人を信じ込んだ、安心しきった笑顔。

「全然平気だよな!朝夜!オレ達、今、暇してたし」

肩に腕を回されて、耳元で言われる。

「このままぢゃ、絶対強姦とかされるって!…ニュースとかみて後味悪くなっても良いの?」

確かに…それは避けたい。

「ならお前ひと…」

「オレはいまだに校内で迷うくらいの方向音痴だ!」

いまだに学校迄の道も時々迷うくらいの方向音痴に訂正しろ。

いくら同じマンションでも毎朝の送り迎えが必要な17歳なんていない…

けど、ソレが谷 平男だ。

「あのー、2人とも…とても仲がよろしいんですね。私、羨ましいです」

本当にウザイ…

でも、ほっておけなくなる。

とても質の悪い…困った拾いモノをしてしまったものだ…

まるで、こちらが……

悪者みたいな気分になる。
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