エンジェルティアーズ
「ねぇ。怖い夢見たの?」


「…ん?そんなとこ。」


「毎日?」


「時々。」


「どんな?」


「海に沈む夢。深い深い海に」


「溺れたことあるの?カナヅチ?」


女は首を傾げた。


「泳ぎは得意だし。溺れた事はないよ。」


「ふぅーん。」


「なんだ?ふぅーんって?」


修は咲の横顔を見た。

どこか寂しそうな表情だった。


「うん?きっと、私と一緒でもがいてんだよ。」


「は?」


「修も咲と一緒で悩んでるっしょ?」


修は思ったまま口にする女に戸惑った。


「…。悩みがないなんて人間いないだろ。」


「そうかなぁ~。私は少なからず、なかったケド。ははは」


「能天気でいいな。」

ラーメンをすすりながら、考えていた。

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