放課後ノンシュガー
逃げ場はもうない。
諦めの悪い爪先が不安定にさ迷って、だけど両手で頬に触れられて、全身が硬直する。
そのままくいと顔を持ち上げられて、こつりとおでこをぶつけられた。
すぐそばで目が合って、わたわたと視線を泳がせる。
「さっきどうして殴ったの?」
「う……それは」
さっきまでとは比べものにないくらい、鼓動が速い。
どうして、って、そんなの言えるわけない。
だけど何もかも見透かすみたいな、その瞳が怖い。
「──俺は、ずっと前からきみがすきだよ」
触れたら溶けてしまいそうな声で、そっと落とされた言葉が。
全身を駆け巡るように、ふわあっと高揚感を誘うから、途端、何も分からなくなった。