放課後ノンシュガー
「どこ行くの?」
「か、帰る……っ」
忘れていたけど、とうに授業は始まっている。
もっとも、半分は終わってしまった授業中の教室に入っていく気なんてなかったけれど。
このままここにいたら、おかしくなってしまいそうな気がする。
「逃がさないよ」
少し低く響いた声、ぐっと強く引き寄せられた身体。
いつの間にか抱きすくめられていて、甘く吐息が耳朶を掠める。
「……また放課後。待ってる」
それだけ告げて、思いの外呆気なく解放されて。
ほけーっとしているうち、振り向きもせずに遠ざかる背中。
放課後、って。