夢幻の都
ランダーは外に出て馬から荷物を降ろすと、パットに手綱を預けた。
「馬の水はどうしている?」
ランダーがきくと少年は顔を上げた。
「涌き水があるんだ」
「では水を飲ませてやってくれ。飼い葉はやらなくていい」
「分かった」
少年は手綱を引いて馬を連れて行きかけたが、ふと立ち止まり、もう一度ランダーの方を見た。
「お客さんは『約束された人』?」
「さあな」
ランダーは肩をすくめた。
ランダーが荷物を背負って宿に戻ろうとすると、入口にいたソニアが小首を傾げてランダーを見ていた。
「ねえ、『約束された人』って何?」
「分からんね。そんなことより、行くぞ」
「うん!」
ソニアは跳ねるようにランダーの後に続いた。