夢幻の都
ランダーは器用にソニアの服を干すと、自分も脱いで上半身裸になった。
いくつもの刀傷のある肌が炎を受けて光る。
均整のとれた逞しい体を見て、ソニアは感嘆の吐息を吐いた。
「愛してるわ、ランダー」
ソニアの口癖を戯れ事ととらえているランダーは、眉ひとつ上げることなく、黙々とテーブルの上に干し肉と堅いパンと水筒を並べた。
「食え」
自らも椅子に座り、ソニアに言う。
「下の食事の方がいいのに」
ソニアがブツブツと不満げに言う。
「頼む。今回は俺の言うことを聞いてくれ」
ランダーが下手に出るのは珍しい。
ソニアは仕方なく椅子に座り、質素な食事を口に運んだ。