夢幻の都

「<歌姫>だって?」


ランダーが面食らったように言った。


「おそらくは<青の歌姫>。この中にはあたしも知らない呪歌が入っている。地上から失われた歌が」

ソニアはパットの頬をそっと撫でた。

「パット、この歌をあたしが歌えばどうなるか分かっている?」


「うん、母さんから聞いている。僕はこの永遠に続く日々から解放されて、生まれ変わるんでしょ? 今度は鳥になりたいな」


「そう。じゃあ広場へ行きましょう。あなたのお母さんの歌を歌ってあげる」


「ソニア?」


「ランダー、剣を抜いて気を引きしめて。あたしが七弦琴を取り出せば、ここの人達は襲ってくるかもしれないわ。パットのお母さんは――<青の歌姫>は処刑されたようだから」

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