夢幻の都
ランダー達は道路を横切り、にぎやかな広場へと向かった。
色とりどりのガラスを通して、ランプの明かりが広場を照らしている。
にぎやかでテンポの速い音楽を演奏する楽団がいて、たくさんの人々が音楽に合わせて踊っていた。
広場の真ん中には大きな人工の池があり、少し高くなったその縁に踊り疲れた男女が腰かけておしゃべりを楽しんでいる。
広場の向こうには石造りの大きな城が見えた。
太守の住まいだろう。
豊かで、平和な光景だった。
ソニアは池から少し離れた芝生の上に靴を脱いで座った。
「パット、俺の横にいろ」
ランダーがそう言って、ソニアの後ろに立った。
ソニアは慣れた手つきで革袋から七弦琴を取り出すと、軽く和音を奏でた。
少し弦を調整する。
今一度、和音を二つ――
「さあ、やるわよ」
ソニアは背筋を伸ばして座りなおした。