夢幻の都
二人の少し先に朽ち果てた縁の、池らしきものがあった。
「これが黄金の池だったのね、きっと」
ソニアはパットにもらった黄金の巻貝を池に投げ入れた。
「いいのか?」
「いいのよ。歌はもう覚えたし、ベルーは身につける以外の黄金は必要ないから」
ランダーは空を見上げた。
朝霧が晴れて、青空が見え始めている。
「天気はよさそうだな――なあ、ソニア」
「何?」
「パットは鳥になれたかな」
「今頃は卵ね。お母さん鳥に温めてもらって、子守唄を歌ってもらってる」
「だといいな」
ランダーはソニアを見下ろした。
「さて、そろそろ旅に戻るか。早く目的地に着けば、早くお前を厄介払いできる」
ソニアは笑いながらそっぽを向くと、馬の方にスタスタと一人で歩いて行った。
空では朝の光の中で、鳥たちが餌を探すために羽ばたいていた。