ONESTAR
ねーちゃんは「大阪弁」が治らずに一言もしゃべれなくなった俺に、「東京弁」を辛抱強く教え、お袋が宥めてもすかしても、朝、ベッドから起き上がろうともしない俺を引き摺って、今日はドアまで、今日はマンションの出入り口まで、今日は校門まで、今日は保健室まで、と半月かかりで俺を学校まで行けるようにした。

俺が、学校に慣れ、友達が出来るようになるまで1年かかった。

その間、ねーちゃんだけが俺の味方で、俺の理解者だった。

そうしてねーちゃんは、俺が一人で学校に行けるようになった頃、進学を辞めて働きたいと言い出した。
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