ONESTAR
ドアを開けた途端、絶句した俺の顔を指さして、イチムラが笑った。

「何の用だって顔ね。今日の現国の宿題のプリントを届けに来たの。ちょうど帰って来たあんたのお母さんに会って、すぐ帰るから待ってらして、なんて言われたからさ。」

別にあたしはどうでもよかったのよ、と言う顔をつくりながらイチムラがすらすらと用意しておいたウソをつく。

現国のプリントなんて口実だ、と俺がすぐ見抜くのを承知の上で、この女は何しに来たんだろう。

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