ONESTAR
「ごめんね、今、ちょうど混んで来て……注文は?」

片手だけで器用に卵を割りながら、店長は左手で伝票に手を伸ばす。

「えっと、今日のおすすめとジンジャーエールを二つください。」

「トモちゃん、今日は店長のおごりなんだから、もっと高いもん頼みなよ。」

にこやかに答えたねーちゃんが言い終わらないうちに、後ろから誰かがそう言った。

「そうそう、トモミちゃんはナツキがいない間、この店手伝ってくれてたんだから、キャビアとかフォアグラとか頼まないと!」

「そんなメニューないって。」

「アハハハハハ。」

ねーちゃんと、スズキと、そいつが笑った。
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