ONESTAR
でも。

今、目の前で、俺は見てしまった。

唇を触れ合わせた二人は、

そのまま何事もなかったように、

ナツキはイーゼルを畳み、店長は階段を下りていった。

でも、そこには、認めざるを得ないものが確かにあった。



店長とウェイターと言う役を終えた二人が、

片づけが終わるまで続けなければならない芝居の間のほんの一瞬、

二人の時間を待ちきれなかったもどかしさを、

俺は、

見てしまった。
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