ONESTAR
真剣に問題集を見る店長の瞳は、

問題の答えだけじゃなく、俺のウソすらも

難なく見透かしてしまいそうな気がした。

深い、その瞳には、真実しか映らないような、

そんな不思議な気分にさせる。

「うん。正解。コーヒー入れるから休憩にしよう。」

「はーい。」

そそくさと問題集をカバンに仕舞い込み、キッチンに立つ店長の背中を視線で追う。

今日は、ナツキがリビングにもいない。

いつもなら俺が勉強する間、茶々を入れては店長に怒られ、渋々テレビを見てるのに。

どこ行ったのかと聞いたら、墓参りだと言われ、

「誰の?」と聞くことが出来なかった。

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