ONESTAR
「わかった。仕込までには戻るけど、いい?」

「はい!ありがとうございます!」

よっしゃ!

やっぱこいつ、押しに弱いかも。

ガチャガチャと玄関で鍵を開ける音がする。

ナツキが帰ってきた。

「たっだいまー。あ、ヨッちゃん、毎日大変だね。」

外、すっげー暑いよ、と言いながら、

ナツキは、リビングを突っ切ってキッチンの流しで手を洗い、

俺達の座ってるダイニングテーブルについた。

「置いてあるから取りに来てって言ってたよ。」

コーヒーをカップに注ぐ店長の背中にナツキが言う。

「何?会ったの?」

「うん。墓の前でばったり。たまには顔出せって。」

「墓に?」

「家に。」

「ふうん。」

店長がカップをテーブルに置く。
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