ONESTAR
真夜中、物音に気づいて目覚めると、そうやってお袋が声を殺して泣いていた。

慰める言葉も知らない幼い俺は、背中から抱きしめておふくろが泣き止むのを待った。

「別れたいって言い出したのはケイコさんの方なのよ!もう我慢できないからって!再婚の邪魔になるからトモミちゃんを連れて行かないって言ったのもケイコさんなのよ!じゃああたしはどうすれば良かったの!!」

ケイコさんと言うのが、ねーちゃんの母親の名前なんだと初めて知った。

とりあえず、正妻の座を手に入れる切り札に俺を生んだわけじゃないのはわかった。

だけど。
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