ONESTAR
「たっだいまー。おお、何かいいにおい。」

ちょうど出来上がるタイミングを狙ったように、ナツキが帰って来た。

「おかゆじゃん、すっげー。」

買ってきたばかりの熱さまシートを箱から出しながら、

ナツキは鍋の中を覗き込んだ。

「さすが料理人を目指してるだけあるよな。」

「料理人を目指してなくてもこれくらい出来ますよ。」

「どうしようかと思ってたんだよねー。店長、食欲ないっつってんのにラーメン食えねーだろーしさ。」

「もしかして、何にも出来ないとか?」

「うん。」

ナツキは悪びれた様子もなく、熱さまシートの説明書を読む。

きっと何不自由なく育った坊ちゃんに違いない。
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