ONESTAR
こう言えば、顔色を少しは変えるかなと注意深く見てたのに、

ナツキは、小首を傾げて「何?」とこの場で話を聞こうとした。

「あ、えーっと、込み入ってるんで、その、あ、どこ行こうとしてたんですか?」

「墓参り。」

「俺も行っていいですか?」

そう聞いた瞬間、ナツキのサングラスの奥の瞳が揺らいだ。

それまでへらへら俺に対応してたのに。

戸惑いと少し迷惑そうな感じ。

「……どうして?」

「相談したいから。」

「帰ってからにしてよ。店長いるし。部屋で待ってて。」

そのままナツキは踵を返し、行ってしまおうとするので「待って!!」と俺は、とっさにナツキの着てたTシャツの背中の裾を掴んで止めた。
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