ONESTAR
それからナツキと二人で電車を二本も乗り継ぎ、(そんな遠いなんて聞いてない!)1時間かけて店長の兄貴の墓まで行った。

ナツキは、ただ黙々と歩き、たまに俺を振り返っては、勉強って楽しい?とか、当たり障りのない会話をした。

延々と山道を登り、何百も並ぶグレーの墓標の中から「あれ。」と小さな墓を指差された時には、けっこう汗だらだらだった。

「あの、お花とか、お供えとかは?」

「え?いるの?そんなもん。」

持ってないから途中で買うのかと思ってた俺は、ナツキの返事に唖然とする。

「何にもないんですか?」

「うん。」

「線香とかも?」

「ないよ。」
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