ONESTAR
本当は俺がカッコよく抱きかかえたかったのに、

俺はもう、膝までガクガク震えていて、ナツキが手を貸してくれなかったら、

歩けもしない状態だった。

震えで歯が噛みあわず、声を出すことも出来ない。

俺は、ねーちゃんの為に、ベッドたの水だのを用意するのにバタバタしてる店長とナツキを手伝いもせず、ソファに座って項垂れていた。

情けなくて、

居たたまれなくて、

世界が、

俺のいるこの世界が、

たった一人ねーちゃんがいなくなっただけで粉々に砕けてなくなってしまうのだと、再認識して。
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