ONESTAR
そう聞かれるのはわかってたけど、とりあえずそう言ってみる。

ねーちゃんは、眉根を寄せて俺の家出の理由を考え込む。

だんだんと世界が色を取り戻し始めた。

ねーちゃんの顔色がほんの少しマシになる。

「……どうして……か……な?」

笑おうとして、声が掠れた。

どうしてだろう?

ねーちゃんの頬にかかる髪をそっと指で払い、

そのまま頬に触れてみた。

あったかくて、やーらかいねーちゃんの頬。

ねーちゃんにもう二度と会えなくてもいいなんて、

どうして思ったりしたんだろう。

生きていけないのに、

ねーちゃんがいないと、

一秒だって生きていけないのに。
< 330 / 474 >

この作品をシェア

pagetop